これだけは知っておきたい!暮らしの知恵

老後にそなえる ― 安心のセカンドライフ設計 ―⑧

老後の住まい編 PART2

①自宅を中心とした様々なケース

ケース1: 戸建て住宅の売却 → 分譲マンションへの住み替え

自宅の売却を検討している場合、税制上の特典を活用できる可能性があります。以下では、居住用住宅の売却に関する主な税制上のポイントをご紹介します。


 ※本内容は2025年5月時点の情報に基づいて作成しています。今後、
  制度の内容が変更される可能性もありますので、
  あらかじめご了承ください。また、以下の制度の詳細については、
  国税庁のホームページや税理士のアドバイスを参考にしてください。
  状況に応じ管轄の税務署や税理士に相談することも一つの選択肢です。)

  1. 居住用住宅を売却する際、一定の条件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円まで課税対象から除外することができる制度(「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」)です。
    (譲渡所得となるのは今回の場合、「自宅の売却額-(取得費+諸経
     費)」がプラスになる場合の所得となります。)
    この制度は、売却する不動産が自己の居住用財産であり、所有期間に関係なく控除を受けられる点が特徴です。
    また、相続した空き家についても、一定の条件を満たすことで同様の控除が適用されます(「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」)。
  2. 長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率
    ※居住用住宅を売却する場合、所有期間の長さによって大きく税率が
     変わるため、売却時期の見極めが非常に重要です。
    売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合は、「長期譲渡所得」として扱われ、20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税率が適用されます。
    一方、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は合計で39.63%と大きくなります。
    さらに、マイホーム(居住用財産)を10年以上所有するなど一定の要件を満たしている場合、「軽減税率の特例」を使うことで、譲渡所得のうち6,000万円までの部分については、14.21%(所得税10%、住民税4%、復興特別所得税0.21%)に軽減されます。
    6,000万円を超える部分については、通常の長期譲渡所得と同じ20.315%が適用されます。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と「軽減税率の特例」は併用可能です。また、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と「軽減税率の特例」も併用可能です。


ケース2: 自宅を売却し、新たな居住用財産を購入

自宅を売却して新しい住まいを購入する場合、税務上の特典があることをご存知でしょうか。
特定のマイホーム(居住用財)を、令和7年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件を満たせば、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません。「特定の居住用財産の買換えの特例」)。

特定居住用財産の買い替え特例
自宅を売却し、新しい住まいを購入した場合、特定の条件を満たせば、譲渡所得税の課税を繰り延べることができる「特定の居住用財産の買換えの特例」が適用されます。

内容が難しいものとなっていて、かつ「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と、この「特定の居住用財産の買換えの特例」は同時に利用できません。

そのため、制度への理解やどちらの制度が税務上有利かを判断するためには、税理士など専門家のアドバイスを受けることも一つの選択肢です。
制度について不明な点がある場合は、管轄の税務署などに電話で相談してみるのも一つの方法です。解決の手がかりになるかもしれません。


ケース3: 自分が亡くなった後の相続で複数世代にわたって引継ぎをしたい →信託の活用

自分が亡くなった後に、例えば配偶者に自宅などを相続したい場合は、効力のある遺言で、自宅の相続人を配偶者に指定をすれば、原則その指定にそって相続人は遺産を取得します。

(原則として、一定範囲の相続人には「遺留分」と呼ばれる最低限の遺産取得割合が法律で保障されていることに加え、他にもさまざまな事情が関係するため、遺言などで指定されたとおりに相続が行われるとは限らない点については、あらかじめご了承ください。)

一般的に、遺言では複数世代にわたって財産を承継させることは難しいとされています。たとえば、最初の相続で自宅を配偶者に承継し、その後、配偶者が亡くなった際に特定の子に確実に自宅を引き継がせたいといったケースでは、「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」を活用することが、確実な一つの有効な選択肢となり得ます。

ただし、この信託契約は締結から30年を経過すると一定の制限が生じるため、財産の承継が無制限に続けられるわけではない点にはご留意ください。この制度の採用をご検討される場合は、詳細については事前に専門家(信託銀行などの金融機関)にご確認いただくことをお薦めします。


② 賃貸住宅(高齢者向けの住宅)

高齢者向けの賃貸住宅にはさまざまな選択肢があり、終身契約やサービス提供が充実した施設などがあります。

1. 終身建物賃貸契約

  • 「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、高齢者が終身にわたって住み続けられることを前提とした住宅です。居住の安定を重視し、立ち退きの心配なく暮らせます。

2. 生活相談職員が日中常駐する賃貸住宅

高齢者向けマンションやシルバーハウジング、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなどが該当します。
これらの施設は増加傾向にあり、日中には見守りや生活相談を受けられるなど、体制が整っていることが多いのが特徴です。
なお、提供されるサービスの内容や範囲は施設によって異なるため、契約前に内容を十分に確認することが大切です。

(住居系の主な種類)

  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
    バリアフリー構造で、安否確認や生活相談のサービス付き。
    介護が必要な場合は、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設なら、内部スタッフによる介護も可能です。
    食事や入浴、掃除の支援や、緊急通報ボタンなどの設備もあり、高齢者が安心して暮らせるよう配慮されているようです。高齢を理由に賃貸契約を断られる心配も少ないため、関心があれば事前にサービス内容を比較し、検討してみるとよいでしょう。
  • シルバーピア(シルバーハウジング)
    住宅に困っている高齢者が使用できる、東京都または都内の市区町村が運営している住宅です。
    バリアフリー構造や緊急対応サービスが付帯。
    所得に応じた家賃設定がされており、安心して入居できます。
  • 軽費老人ホーム(ケアハウスなど)
    自立に不安のある低所得高齢者向け。低額で利用でき、都市部向けに基準を緩和した「都市型軽費老人ホーム」もあります。

③ 介護施設

介護が必要になった場合、選択肢としてさまざまな介護施設があります。

1. 費用負担

  • 公的施設: 比較的費用が抑えられますが、希望者が多く、空きがない場合があります。地方に空きがある可能性もあります。
  • 民間施設: 月額利用料とは別に入居一時金が必要な場合が多いですが、サービス内容に差があります。公的施設に比べ、より充実したサービスを提供している施設もあります。

2. 施設の種類

  • 有料老人ホーム
    • 健康型: 生活支援サービスがあり、介護が必要になった場合は退去が求められます。
    • 介護付き: 特定施設入居者生活介護の指定があり、介護サービスを提供します。
    • 住宅型: 食事などの生活支援サービスが提供され、外部の介護サービスが利用可能です。
  • 特別養護老人ホーム(特養)
    • 要介護3以上が対象で、生活支援や介護サービスが提供されます。費用は民間施設に比べて安いですが、人気が高く、空きがないことが多いです。地方であれば空きが見つかる可能性があります。
  • 介護老人保健施設(老健)
    • 要介護1以上が対象で、病院と自宅の中間的な施設です。介護、看護、リハビリが行われます。
  • 介護医療院
    • 要介護1以上が対象で、長期的な療養が必要な場合に医学的管理、看護、生活支援、介護が提供されます。
  • 認知症高齢者グループホーム
    • 認知症高齢者が5〜9人の少人数で家庭的な共同生活を送る施設です。

老後の住まい選びには、税制面や介護サービスなどさまざまな選択肢があります。
それぞれのライフスタイルやニーズに合わせた住まいの形を選ぶことが、安心して老後を迎えるための重要なステップです。
また、高齢者向け住宅や介護施設などの利用を検討されている場合、提供されるサービスの内容や範囲は施設によって異なるため、契約前に内容を十分に確認することが大切です。
自身の状況に最適な選択をするためには、専門家の助言を受けるのも一つの選択肢です。
これからの生活設計を見直し、より良い未来に向けて準備を進めていきましょう。

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